アーティストインタビュー:緒方智奈美さん
2021.10.15
「水と人の物語」をテーマに、空間をまるごと感じるインスタレーション
アーティスト:緒方智奈美さん
新富町のおとなり、西都市在住。町内の小中一貫校「新田学園」で非常勤講師として勤めながら、制作活動を続ける緒方智奈美さん。絵画の小作品をつくることが多いそうですが、今回は和室という空間を使ったインスタレーションで、新富から感じたものを表現してくださいます。
Q.緒方さんはふだんアート、絵画という手法でどんなことを表現しているのですか?
緒方さん:ちょっと暗いイメージに捉えられがちなんですが、『生と死』を表裏一体のものとして、「生まれなおす」ということを表現の中に取り入れています。誰しもネガティブな思考になることがあると思うんですが、それは決して悪いことではないし、あなただけではないよ、ということを伝えたい。それはそのまま、自分自身へのメッセージなんですけど。
Q.講師として学校で美術教育に関わってきた緒方さん。学校ではどんなことを伝えていますか?
緒方さん:平日は午前中だけ講師として学校に行き、午後から制作活動の時間に当てています。子どもたちには、表現することは楽しい、と感じてもらえるように心がけています。時々「何を描いたらいいかわからない」という子どもがいるので、「あなたの好きなものはなに?」と聞いて少しずつ思いを引き出すと、楽しそうに創作しはじめてくれたり。成長が感じられる瞬間です。
Q.新富町を見て周り、今回はどんなテーマで制作することになったのですか?
緒方さん:湖水ヶ池では昔豊作祈願や雨乞いが行われていたこと、池にまつわる龍神伝説など、水沼神社の宮司さんからいろんな話を聞きました。またアカウミガメが毎年訪れる砂浜があり、盛んな農業は水の恩恵を受けています。新富は水を大切にする文化があり、水に守られている土地だと感じました。
そこで「水と人の物語」をテーマに、「蛇(龍)」をモチーフに取り入れることにしました。
Q.作品は総合交流センターきらり内の和室を使ったインスタレーションとのこと。どのようなことを考えながら制作していますか?
緒方さん:インスタレーションはこれまでも制作しましたが、「その場所のために」とか、「その町を表現する」といった取り組み方は初めてです。会場に来てくださった方が新富を感じたり、何かを感じてくれたら。見方や感じ方は人それぞれなので、自由に感じて、写真を撮って楽しんでくれたらいいですね。
芸術祭の案内を見た学校の子どもたちが「先生も出るんだね」と声をかけてくれました。興味を持って見に来てくれて、何かを感じてもらえたら…うれしいですね。
《緒方さんからのメッセージ》
新富芸術祭への参加にあたって新富の町を案内していただきました。亀の来る海、蓮に彩られる池、農業を支える川…豊かな水の恩恵を受ける土地の魅力を感じることができました。
今回の展示では、地域の方々と共に「水と人」に焦点をあてた作品を制作したいと考えています。
新富町の魅力を再発見していただく一助になれば幸いです。
また、芸術祭をきっかけに新富町がますますアートのあふれる町になることを楽しみにしています。